猛暑が続いておりますが、ひと仕事終えてからのビールは格別なものです。しかし、健康診断で尿酸値や血糖値が高いと指摘され、ビールを控えている人も多いかもしれません。
 そのような人の味方として現れた「プリン体0・糖質0」の発泡酒が昨今、売れ行きを伸ばしています。しかし、実はこういった機能性飲料には注意が必要です。
 そもそもプリン体や糖質は「うまみ成分」といわれるものです。ビールには原材料の使用基準が厳密に定められていますが、発泡酒などにはその規制がなく、あらゆる食品添加物が使用できるのです。したがって味を調えるために香料、酸味料、苦味料などとともにカラメル色素や甘味料まで使われています。カラメル色素はコーラなどにも使われている着色料ですが、発がん性物質が含まれているといわれ、問題になっている食品添加物です。さらに甘味料にはアセスルファムKが使われていますが、これは完全な化学合成物質で、体内で分解もされず代謝もされません。そのため体中をぐるぐる廻り、最後は肝臓や腎臓に蓄積されて免疫力の低下をもたらします。
 また、プリン体0・糖質0というある種の安心感がもたらすのか、このような機能性飲料を飲む人たちは、飲みすぎ食べすぎの傾向があるようです。しかも、肉や魚などのプリン体をたっぷり含んだ動物性たんぱく質を一緒に食べていたりすると、ダブルパンチ、トリプルパンチともなりかねません。また、一部の発泡酒には加工デンプンというものが使われているのですが、これも発がん性物質を含む可能性があるといわれています。
 ほかにも酵母エキスが使われているものもあり、これは食品添加物に指定されていないため無制限に使われているのです。酵母エキスは、遺伝子組み換えによってつくられた酵母を原材料にします。それにサトウキビ粕とアンモニア化合物を餌として与え、酵母の体内にアミノ酸などを合成させるのです。そこにビールの製造過程で出る廃液の酵母を薬品で殺したものを加え、酵素や酸などで加水分解したものです。
 そして、ここにも重大な問題があります。この製造工程で出る不純物が、イースト症候群(イーストコネクション、または慢性カンジダ過敏症)というアレルギー症状を起こす原因物質になってしまうのです。イースト症候群になると、腸内菌叢の乱れによるビタミンB群の減少で皮膚や粘膜が荒れたり、かゆみが出たりします。また、慢性の下痢が続き、イライラしたり怒りっぽくなるともいわれています。記憶力・集中力の低下なども招き、疲れやすく、慢性的なだるさが続くともいわれています。
 このような食品添加物や、それに類する物質を加えなければ味が調わないものを飲む必要があるかどうかは、それぞれのご判断にお任せしますが、結局のところ、お酒は適量、そして合わせていただく料理は、肉や魚などの動物性たんぱく質に偏らないようにすることが、おいしく楽しくお酒を飲むコツということになるのです。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)