朝から曇り空です。
気温も下がって寒くなりました。
いつもは出窓から外を眺めている猫のカブクも炬燵の中に潜り込んでいます。
気象予報をみるとこれから寒さが増すようなので灯油を買いに行かないといけません。
冬がやってきますね。
昨日、種子島から日本のH2Aロケットが打ちあがりました。
商業打ち上げは初になります。
旅客機のMRJの初飛行、ホンダジェットは年内に一号機が納入見通し、そして今回のH2Aロケットの商業打ち上げ成功と日本の技術が空に向かっていくのはとても嬉しいです。
クローズアップ2015:H2A、商業用打ち上げ成功 2段ロケット改良奏功 世界市場参入へ第一歩
毎日新聞 2015年11月25日 東京朝刊発射場の立地の不利を技術改良で乗り越え、H2Aロケットが初の商業打ち上げに成功した。運用する三菱重工業にとっては、商業衛星打ち上げ市場への本格参入に向けた第一歩となる。一方、ライバルとなる欧州や米国、ロシアのロケットに比べると、まだ価格面で及ばない。日本は開発中の次期基幹ロケットH3で打ち上げコストの半減を目指しているが、新興国の需要などを目当てに受注競争は激しさを増しており、真価が問われるのはこれからだ。【斎藤広子、永井大介】打ち上げから4時間半が経過した午後8時すぎ、衛星が予定通りにロケットから分離したことが伝えられると、種子島宇宙センターで見守った三菱重工の関係者から「よっしゃー」という歓声と拍手が起こった。H2Aロケットは、今回で29回のうち28回成功(成功率96・6%)。天候以外での延期がほとんどなく、世界最高水準の信頼性を誇る。だが、これまで打ち上げた衛星は政府や宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する「官需」がほとんど。受注競争で欧米やロシアのロケットの後じんを拝してきた同社にとっては、悲願の打ち上げ成功だ。商業打ち上げの中心は、赤道上空約3万6000キロの静止軌道を周回する通信や放送用の静止衛星。欧州のアリアンスペース社はこうした衛星に照準を合わせ、赤道に近い南米の仏領ギアナに発射場を置き、主力ロケット「アリアン5」を打ち上げている。一方、北緯30度の種子島からの打ち上げでは、静止軌道に対し大きく傾いた軌道にしか衛星を送り込めない。衛星は自らの燃料を大量に消費して静止軌道まで進む必要があり、衛星の寿命が短くなってしまう。市場の衛星の多くはアリアン5で打ち上げることを想定して設計されており、H2Aは受注の土俵にも上がれない状況が続いていた。今回、JAXAは立地の不利を乗り越えるため、92億円をかけて第2段ロケットを改良。オレンジ色だった表面を断熱材で白く塗装したり、エンジンに3回目の着火機能を追加したりして長時間飛行を可能にし、静止軌道により近い軌道への投入が可能になった。さらに、改良した第2段ロケットをJAXAが提供するという形で打ち上げ費用の一部を負担。受注価格は公表されていないが、三菱重工は発注元のテレサット社に対し低い価格を提示でき、官民で受注を後押しした形になった。政府は今年1月に決定した宇宙基本計画で「国内外の衛星打ち上げサービス受注の拡大を可能とすることを目指す」としており、今後も商業打ち上げの受注を支援していく方針だ。◇課題はコスト削減
世界の衛星打ち上げ市場は欧州やロシア系企業が大きなシェア(占有率)を押さえてきたが、近年は米国企業も加わって競争が激化している。三菱重工とJAXAは今回のH2A打ち上げを世界競争に食い込む足がかりにしたい考えだ。衛星打ち上げは年間20〜30基程度の需要があり、欧州各国が出資するアリアンスペース社の「アリアン5」が圧倒的なシェアを占めてきた。ここ数年は米スペースX社が2010年から運用する「ファルコン9」が急成長し、昨年はアリアン5と同数の9基を受注した。日本勢は政府系機関からの受注が主体で年間2〜3基の打ち上げにとどまることも目立つ。ロケットの製造は部品数が100万点にのぼることなどから、「1次下請けだけで350社以上、2次以降の下請けも含めると1000社以上」(三菱重工広報部)もある。高度な技術力を持つ町工場などが部品生産を担っており、民間からも安定した受注を得られれば、技術力の向上につながる。今回、衛星を静止軌道により近いところまで運べるように改良したことについて、宇宙産業に詳しい三菱総研の羽生哲也氏は「顧客視点に立ったもので、競争には有利」と評価する。だが、ライバルのシェアを切り崩すには課題も残る。スペースXは電気自動車などで知られる米テスラモーターズのイーロン・マスク最高経営責任者が02年に設立。1機当たりの打ち上げ費用は約70億円で、約100億円程度とされるH2Aより安い。日本も20年度の打ち上げを目指す新型ロケットのH3で、打ち上げコストを約50億円まで引き下げる方針だが、アリアンスペースも次世代ロケットでコスト半減を目指しており、日米欧の激しいつばぜり合いが予想される。アリアンスペース東京事務所の高松聖司代表は「1基を受注すれば5%のシェアになる。今回の打ち上げ成功で、市場そのものの動きが変わってくる可能性がある」と新たなライバルの動向を注視する。
質問なるほドリ:静止衛星ってどんなもの?=回答・斎藤広子
毎日新聞 2015年11月25日 東京朝刊◇地球の自転に合わせ周回、通信・気象で使用
なるほドリ H2Aロケットが初めて民間の商業衛星(えいせい)を打ち上げたんだって?記者 カナダの衛星運用会社の通信放送用の人工衛星です。今回の衛星を含め、商業衛星の多くは「静止軌道(せいしきどう)」を回ります。Q 静止軌道って何?A 赤道(せきどう)上空の高度約3万6000キロの円軌道のことです。この軌道を飛行すると、衛星が地球を1周するのにかかる時間が、ちょうど地球の自転(じてん)(1周23時間56分4秒)と同じになります。地球上から見た場合、この衛星は空の1点に止まって動かないように見えます。こうした衛星を静止衛星と呼んでいます。Q どんなメリットがあるの?A 静止衛星からの電波(でんぱ)を受信する際、地上のアンテナを動かさなくてもよいのです。通信放送衛星の多くはこの軌道を回っています。また、衛星からは、いつも地球の同じところが見えていることになります。時々刻々と変わる雲の様子などをリアルタイムで観測するのに便利ですので、気象衛星の一部も静止軌道を使います。昨年10月に打ち上げられ、テレビの天気予報でもおなじみの「ひまわり8号」も静止衛星です。Q 静止軌道には多くの衛星があるの?A 情報通信白書によると、日本だけでも通信放送サービスのために昨年度末時点で13基の静止衛星が運用されるなど、静止軌道は混み合っています。このため、国際機関が場所や使用する電波の周波数(しゅうはすう)を調整することになっています。Q 衛星の軌道はほかにもあるの?A 地表をくまなく観測しなければならない地球観測衛星や偵察(ていさつ)衛星の多くは、高度数百キロほどで南極と北極を通って縦に地球を周回する「極軌道(きょくきどう)」を利用します。また、国際宇宙ステーションは少し傾いた軌道で地球を周回しています。(科学環境部)