学生の窓口編集部
ペットやキャラクターで不動の人気を誇る「ネコ」。散歩に出かけたまま帰ってこない!なんて話をよく耳にしますが、活動範囲は「ごくわずか」なのはご存じでしょうか?
ネコが出歩くのは縄張りの「パトロール」のためで、ほかのネコの臭いがついていないかチェックして回る重要な仕事。ときどき帰ってこないのは縄張りが広いから、と思われるかもしれませんが、移動距離はオスで60mほど。メスは30m前後しか歩きません。運動量も少なければ必要なエネルギー量も少なく、体重4kgのネコなら食事の目安はたった300kcal、人生(?)の3分の2を寝て暮らす省エネモードな動物なのです。
■散歩はたった60m?
童謡で「こたつで丸くなる」と歌われるように、日本人にとってなじみの深いネコは、じつは砂漠のような乾燥地帯の動物で、ネズミを捕まえるために飼われるようになったとされています。現在は室内飼いが一般的になりましたが、すこし前までは自由に外出できる放し飼いも多く、毎日のようにひとりで散歩に出かけるのが当たり前でした。大変気ままな生活をしているようなイメージに反し、散歩は縄張りのパトロールで、重要な仕事なのです。
ネコのパトロールは、どれくらいの距離を歩くのでしょうか? プイと出かけたきりなかなか帰ってこないので、さぞかし長距離を巡回しているように思うひとも多いでしょうが、じつはたったの60mぐらいしか歩いていないことがわかりました。
野良猫の移動距離を調べた研究結果によると、およその移動距離は、
 ・オス … 65m
 ・メス … 30m
ほどしかありませんでした。また、
 ・去勢したオス … 35m
 ・避妊したメス … 33m
と違いが生じ、オスのほうが縄張り意識が強いことがわかります。かりに1時間かかったとしても毎分1m程度、秒速1.8センチの超スローモーションです。途中でなにかを調べたり休憩しているのでしょうが、これでは運動になるのかビミョウですね。
■運動量は必要最低限
60m程度のパトロールで、ネコの運動量は足りているのでしょうか? 飼った経験のあるひとはご存じでしょうが、ネコはもともと省エネモードな動物。少ない運動量でも問題ないのです。
ネコが1日に必要とする食事の目安は体重1kgあたり70~80kcalといわれ、4kgのネコなら300kcal程度、年齢や個体差を考慮しても400kcalといったところでしょう。また、睡眠時間も長く、子ネコは1日20時間、成長後も12~14時間のロング・スリーパーなため、人生のおよそ2/3を寝て過ごしているのです。
人間と比較するとどうなるでしょうか? 18~29歳女性の標準体重50kg、必要カロリー2,000kcalと比べると、
 ・ネコ … 1kgあたり80kcal
 ・人間 … 1kgあたり40kcal
なので、人間のほうが少ないことがわかります。体温高めな動物なので、じっとしているだけでも多くのカロリーを消費することが一因です。同様に、30mのパトロールを50kgの人間に置き換えると375m相当、オスの65mを基準にしても800m強にしかなりません。通学やバイトの行き帰りで充分にまかなえる運動量ですから、ネコは運動嫌いと表現できます。
余談ですが「丸くなる」のは、こたつの中ではなく「上」が正。昭和初期までのこたつは天板がなく、ふとんをかけるだけ仕様だったので、暖を取るために上で寝ていた姿が歌詞になったのです。暑い地域の出身だけに日本の冬はこたえるでしょうから、丸くなっているのを見かけてもそっとしておいてあげましょう。
■まとめ
 ・ネコの散歩は、縄張りのパトロール
 ・1日歩いているようなイメージに反して、オスでも巡回距離は60mほど
 ・去勢したオスのパトロールは、メス並の30mほどに減る
 ・「丸くなる」のは、こたつの中ではなく上